お店について教えてください。
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2014年10月、初代の店をコーヒースタンド形式で開店しました。しかしイートインスペースが欲しいという要望を数多くいただき、2021年3月に現在の場所に移転しました。現在の店舗は、入口の正面にコーヒーの抽出などを行うコーヒーカウンター、次に客席スペース、一番奥に焙煎室があります。入口から奥の焙煎室までが見渡せて、すぐコーヒー店だと分かること、思わず入ってみたくなるような造りを目指しました。
また、コーヒーカウンターは白を基調にした明るい雰囲気、客席スペースは照明を落とし気味にアンティーク家具を配した落ち着いた雰囲気、焙煎室は蛍光灯の光で工場風にと、3種類の空間を別々に演出しています。焙煎を自店で行っている理由は、新鮮で最高の状態のコーヒーを提供するためと、お客様とのコミュニケーションを通して刺激や情報をいただき、それを焙煎にフィードバックするためです。世界各国から質の高いスペシャルティコーヒーの豆を厳選して仕入れ、香川県にあるLIMA COFFEE瓦町店のロースターとも話し合いながら、当店ならではの焙煎を追究し、エスプレッソマシンとサイフォンでコーヒーを提供しています。
お客様の層はいかがですか?
10代から70代までの非常に幅広い層の方に来て頂いています。メリケンパーク、ポートタワー、中華街、元町商店街なども近いので、他府県の方、地元の方など様々なお客様がいらっしゃいます。雑貨店や古着店なども多いので若い人も多いですね。平日は午後1時~3時くらいが繁忙時間帯ですが、週末などは午前9時前後にもう一つのピークがあります。天気の良い週末には近くのパン屋さんで焼きたてのパンを、当店で淹れたてのコーヒーを買ってメリケンパークなどで海を見ながらのんびり楽しむというのが人気コースになっています。
コーヒーメニューについて教えてください
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グアテマラをベースにマンデリンが入ったLIMA BLEND(ハウスブレンド)、日替わりのTODAY ’S AMERICANO(本日のアメリカーノ)、一番人気のカフェラテなどに加えて約15種類のシングルオリジンを用意しています。コーヒー豆はすべて私たちが30~40種のサンプルから徹底的に選別したスペシャルティコーヒーです。また品種によっては、同じ豆でも浅煎りと深煎りの両方を用意して、味わいの変化を楽しんでいただいています。焙煎に関しては、フジローヤルの焙煎機を使用し、ほどよい苦味と甘味を引き出す中深煎りをメインに、豆の個性を最大限活かすことを目指しています。特に重視しているのは後味の良さです。
人気のフードメニューは?
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一番人気は徳島県、岡萬商店の「バタドラ(塩バタードラ焼き)」です。バターはもちろんですが、意外にもあんこがコーヒーとよく合います。また、地元の加集製菓店にオリジナルで作ってもらっているカヌレも人気があります。
お使いのコーヒーマシンについて教えてください
ラ・マルゾッコKB-90-2 AUTO BREW RATIOを使用しています。最新機種ならではの機能と使い勝手の良さは群を抜いています。デザインも素晴らしく、神戸の海と光をイメージしたブルーとイエローのカスタムカラーに塗装。マシンの色はお客様の印象に強く残るのでとても重要だと思っています。グループヘッドに真っ直ぐに差し込むだけで装着可能なストレートイン・ポルタフィルターによって、スピーディーに作業を行うことができます。また、ポルタフィルターをグループから外すと自動的にフラッシング動作が始まるオートスチームフラッシュもとても便利です。この機種にはドリップ・プレディククション(抽出予測)機能が付いているため、抽出量という基準を揃えることで効率的に味決めを行うことができ、質の高いエスプレッソが安定的に抽出できます。さらにデュアルボイラーシステムによる安定性とパワーも申し分なく、世界中のバリスタの声を取り入れた操作性と機能性は抜群です。バリスタ独自の調整によってコーヒー豆の良さを最大限に引き出せることも魅力ですね。お客様からSNSなどで「すごくいいエスプレッソが出ていますね」という感想を多数いただいています。また、ラッキーコーヒーマシンのサポートもしっかりしているので、安心して使用することができます。
ハンドドリップではなくサイフォンで抽出されている理由は?
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昔からサイフォンという器具が好きだったこと、最初に始めた店はスタンド形式だったのですが、店の形態とミスマッチなサイフォンによる時間をかけた抽出が逆に好評だったことから、現在もサイフォンを使っています。今ではそれが当店の個性になっていると感じています。ハロゲンランプを熱源として使うBONMACのサイフォン用ビームヒーターを使用していますが、お客様も興味を持つようでよく尋ねられます。
グラインダーは何をお使いですか?
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マルケニッヒ EK43です。何よりスピードが魅力で、簡単に正確な挽き目調整ができることもいいですね。デザインも優れていて、外装は神戸の海をイメージしたブルーにカスタムしています。
ホットウォーターディスペンサーも導入されていますね
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BUNNのH5X エレメント ステンレスを使用しています。サイフォン用に常に適切な温度の熱湯が使えるのは本当に便利で重宝しています。神戸の山の色、緑(カーキ)にカスタムしています。
これから開店を目指されている方にアドバイスをお願いします
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一つはその店なりの個性を出すこと。これだけたくさんのコーヒー店がある中で、お客様はなぜそのお店を選ぶのか?コーヒーの味はもちろん重要ですが、それに加えて「あそこはちょっと変っていて面白い」とか「楽しくて居心地が良い」と感じてもらうことが大事だと思います。そのためには店のスタッフ全員がやるべきことはやりながらも、自然体で個性を発揮することが大切だと考えています。当店には12人のスタッフがいますが、それぞれ焙煎、抽出、マキアート、接客など極めたいこと、やりたいことが違います。そうした個性を認めて、それを発揮できるような雰囲気を作ってあげること。当店ではオーナーである私をはじめ、店長やスタッフ個々が自然体でやりたいことを追求することで、そうした雰囲気づくりを行っています。
もう一つはインターネットで情報を集めるだけでなく、地元の人気店に足を運んで、できればそこの経営者と話しをすること。商売は人と人との繋がりですから、デジタルだけで完結するのではなく、アナログと上手に組み合わせて幅の広い情報を集めることが重要だと思っています。
今後の目標をお聞かせください
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神戸市民にも他府県のお客様にも愛されることで、日本のコーヒー発祥の地である神戸のコーヒーシーンを盛り上げていきたい。今来てくれている若いお客様が10年後、20年後に自分の子供を連れて来てくれる店、50代の親が30代の子供と連れだって来てくれるような店を目指したいですね。質の高いおいしいコーヒーで居心地の良い時間を過ごす。そんなコーヒー文化を末永く広げていければと思います。