お店について教えてください。
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1997年に自家焙煎コーヒー豆小売りとカフェを併設した専門店をこの場所で立ち上げました。2012年にリニューアルを行い、隣接する2軒の左側で焙煎とカフェ、右側でコーヒー豆の販売と試飲を行っています。コーヒー豆はすべて私が現地に赴いて買付けたスペシャルティコーヒーで、豆の選定、管理、焙煎、抽出までを一貫して行っています。
どのような点に力を入れていますか?
スペシャルティコーヒーの素晴らしさ、おいしさを一人でも多くの方にお伝えしたいと考えています。2005年ごろ日本スペシャルティコーヒー協会主催のカッピングセミナーに参加し、コーヒーに対する考え方がすっかり変わるほどの衝撃を受けました。そのときの驚きと感動から、スペシャルティコーヒーを探求しようと決めました。
「From Seed to Cup(コーヒー種からカップに至るまで)」という基本理念に大いに共感したのですが、当時国内ではなかなかスペシャルティコーヒーを入手できませんでした。さまざまな人やグループ、生産者との出会いなどで少しずつルートを開拓していきました。現在は年に2~3回、ホンジュラスやボリビアなどで買付けを行っています。焙煎には最新鋭のローリングスマートロースターを使い、スペシャルティコーヒーが持つ酸の特徴や透明感などを最大限引き出すよう努めています。
お客様の層と人気のメニューを教えてください
平日は地元のお客様、週末は東京などから車で来られるお客様が多いですね。年齢層は幅広く、開店当時からのお客様もいらっしゃいます。豆の販売では、スタッフと対話しながら好みのコーヒーを選ぶことができ、お買い上げいただいた方には当店がチョイスした豆で淹れたドリンクをサービスしています。
特にスペシャルティコーヒーを使ったエスプレッソは、豆の凝縮した味わいが楽しめると好評です。カフェでは、第一回Cup Of Excellence ペルー国際品評会で優勝した「ラ フロール」などおすすめのコーヒーをエスプレッソやハンドドリップでお出ししていますが、お客様から「素晴らしい」「コーヒーの概念が変わった」などの声をいただいています。また、カプチーノやラテなどミルクを使ったメニューも人気があります。
お使いのマシンについて教えてください。
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ラ・マルゾッコ Linea PB-3を使用しています。ラ・マルゾッコのマシンは世界で最も信頼性が高く、味や香りの面でもしっかりボディのある良いエスプレッソをつくることができます。週末は300杯以上抽出するのですが、デュアルボイラーのおかげで連続抽出しても温度が下がらず、安定した品質のコーヒーが出せることも大きいですね。そして何より、豆の個性を活かしたバリスタの狙い通りの一杯を実現できることが最大のメリットです。
マシンを使う上で気をつけていることはありますか?
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豆の状態や気温などを考慮して毎日必ず温度や抽出量などを調整し、最善の味が引き出せるようにしています。日々のメンテナンスも重要ですが、抽出装置の清掃機能などのおかげで、手入れが非常にラクです。
開業を考えている方へのアドバイスをお願いします
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本当においしいコーヒーをお出しして、お客様に感動していただく。それが原点だと思っています。そのためには豆の仕入れ、選定から焙煎、保管、抽出までトータルに気を配る必要があります。豆のコンディションも自分のコンディションも日々変わります。その変化に気づくため複数の着眼点を持って、しっかり管理することが重要だと思います。
今後の目標をお聞かせください。
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コーヒーのロースターとしてもバイヤーとしても、他の国の人たちに負けたくないという気持ちがあります。良いコーヒーを手に入れるためには、ある程度の量を買う必要があります。そのため3年前、「ONE CONTAINER MISSION」を始めました。厳選した農場の豆を約18トンのコンテナで買付けるというものです。一定量を適正な価格で買うことで、現地生産者に経済的な裏付けを提供するとともに、彼らとの絆を深めることを目指しています。また、プロを目指す方へのスクールや、カフェオーナーに向けた開業サポートも行っています。そうした活動によって、湘南を上質なカフェ文化の発信地にしていきたいですね。お店に来ていただくお客様、海外の生産者、カフェオーナーとさらに深く関わることで、スペシャルティコーヒーの素晴らしさと魅力を広めていければと考えています。